バラの香りについて

片桐青氷

5-3-2 ピース(Peace)



フランスのフランソワ・メイアン(François Meilland)が1939年ごろに作出し、ドイツ、イタリア、アメリカにも送られて栽培されていましたが、1945年に連合軍によるベルリン陥落を記念して、アメリカのロバート・パイル(Robert Pyle)がピースの名で発売しました。


半剣弁高芯咲きでクリームイエローの花びらにピンクの縁取りのあるピースは世界の多くの人に愛され、バラの発展に貢献した品種として世界バラ会連合(World Federation of Rose Societies)の殿堂入りした最初のバラとなりました。

香りはダマスク系のフローラルです。
交配親の中にティー香のジョアンナ・ヒル(Joanna Hill)がいますが、ティーの香りはかすかに香る程度です。
またトップにフリージアやオーキッドのような甘い香りが漂ってくることがあります。


ピースを調べているうちにWikipediaに鈴木先生のエピソードが載っていました。
著作権法上の「引用」の要件を満たす形で、以下に原文のまま引用させていただきます。



この品種が日本に入ったのは1949年であった。
その前年、後に日本を代表するバラ育種家となった鈴木省三は空襲で焼け残った東京のビルの一角でバラ展を開催した。
これは平和を取り戻した象徴として新聞紙上でも、更に進駐軍の新聞にも取り上げられた。

この展示会にサンフランシスコバラ会の会員が来訪、会場のバラを賞賛した後に「残念なことにここにはピースがない」と述べ、来年にはその花を届けることを約束、そして翌年、まだ民間の航空輸送がない中で、彼はこの品種を軍の輸送機によって日本にもたらし、バラ展に届けた。
多くの人間がこれを後年まで語り継いだという。

当時、繊細な花色と、それに花も葉も一回り大きく、それまで知られていたバラとはまるで違うとして大人気を博した。
当時の大卒銀行員の初任給が3000円だったのに対し、本品種は1本で6000-10000円で発売されたという。
 




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